適切な意思決定支援に関する指針
医療法人社団創成会 羊蹄グリーン病院
令和6年4月1日
基本方針
患者は疾患を抱えて治療、療養生活を送るにあたりいろいろな意思決定をする場面があります。 当院職員は、患者・家 族に適切な説明と話合いを行い、人生の最終段階を迎える患者がその人らしい最期を迎えられる様、 患者本人の意思決 定を尊重し医療・ケアを提供することに努めます。
「人生の最終段階」の定義
-
人生の最終段階における医療選択の意思決定場面
・がん末期のように、 予後が数日から数か月と予測できる場面
・慢性疾患の急性増悪を繰り返し、予後不良に陥った場面
・脳血管疾患の後遺症や老衰など数か月から余年にかけて死を迎える場面等 -
認知症で自らが意思決定をすることができない場面
-
誤嚥性肺炎を繰り返など、 食事が食べられなくなった
-
身寄りがいない人で意思決定が必要な場面
-
患者と家族の意見が異なる場面
-
その他 患者にとって判断に迷う場面
意思決定における医療・ケアの在り方
-
医師等の医療従事者から、現状、医療行為等の選択肢、今後の予測などの適切な情報提供を行います
-
医療・ケアを受ける本人や家族が医師・看護職員・相談支援員等の医療者から構成される医療チームと十分話し合いを行えるようにします
-
本人の意思を最優先し医療・ケアを提供します
-
本人の意思は変化するものであることを踏まえ、 本人と家族との話し合いが繰り返し行われるようにします
-
本人が不安や疑問、 思いを十分表現できない場合は、医療者が(権利擁護、 代弁者) となり考えの表出を助けます
-
話会いの内容は、 その都度診療記録に記録し、 医療チームで情報共有します
-
身体的な苦痛のみならず、 家族も含めた精神的・社会的な援助を総合的に行います。
具体的な医療・ケアの方針決定支援
① 患者本人の意思が確認できる場合
-
患者本人による意思を尊重します。
-
本人の意思は変化しうるものです。 さらに、本人が自らの意思を伝えられない可能性があります。本人に家族等、自らの意思を推定する者として前もって定めていただき、 本人を主体として一緒に、医療・ケアチームと共に繰り返し話し合いを行います。
-
このプロセスにおいて話し合った内容は、 その都度、カルテに記載します。
② 認知症や精神疾患等で自ら意思決定することが困難 ・ 不確かな患者の場合
-
意思決定能力は、段階的・漸次的に低下します。 又、環境や支援によって変化します。 保たれている能力を向上できるよう、 意思形成支援・意思表明支援を行います。
-
意思決定能力は、説明の内容をどの程度理解しているか (理解する力)、 自分のこととして認識しているか (認識する力)、論理的な判断ができるか (論理的思考) 意思を表明できるか(意思表明の力) の 4 つの力を 参考にチームで査定します。
-
意思決定能力が不確かな場合においても、患者本人には知る権利があります。 対象に合った方法で、意思決定の為の必要な情報・知識をその都度提供します。
-
このプロセスにおいてその都度、 カルテに記載します。
③ 意識障害や鎮静などで患者本人の意思が確認できない場合
-
家族等が患者本人の意思を推定できる場合には、 その推定意思を尊重する。
-
家族等が患者本人の意思を推定できない場合には、患者本人に代わるものとして家族等と十分に話し合う。
-
生命危機の状態での救急医療や、 緊急に医療を要する場合は本人へのインフォームドコンセント(説明と同意)を行うことが困難なため、 代理意思決定できる家族等にインフォームドコンセントを行います。
-
代理意思決定者が不在、連絡が取れない時は、関係支援者・現場の医療・ケアチームで検討し、患者にとっての最善と考える医療提供方針を決定し、 その旨をカルテに記載します。
④ 身寄りがない患者の場合
-
本人の意思決定能力の程度や代理意思決定者の存在の有無等により状況が異なります。介護福祉 サービスや行政の関わり等を利用して意思尊重します。
-
さらに医療・ケアチームが医学的妥当性と適切性、患者の症状・状況に沿って検討し、ご本人にとっての最善の方針をとります。
-
「身寄りのない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人へのガイドライン」 を参考にその決定を支援します。
-
成年後見人等の役割・関与は・契約の締結(受診機会の確保・医療費の支払い)・身上保護(適切な医療サービスの確保の為の医療情報の整理) であり、 医療同意は含まれませんが、意思決定支援チームの一員として参画することができます。このプロセスにおいてその都度、カルテに記載します。
⑤ 患者と家族の意見が異なる場合
-
患者・家族間で意見の相違がある場合は、話し合いの時間を設け、 患者にとって最善な選択ができるように調整致 します